経営としての林業を取り巻く環境はどこ行っても厳しいことは耳にしている。そんな中で、木の家が1件建つことはそれなりに意味のあることと思っているのだが、実際の山側の状況をどこまで知っているのかということになると、ものの本で得た程度のおそまつなもの。実際に見ることで県内の山の状況は確認しておきたい。
森と県民を結ぶ「埼玉の木の銀行構想」のワーキンググループのメンバーとして、こだま森林組合と協同組合彩の森ときがわの取り組みを視察した。[2006.02.16]
■こだま森林組合
会議等では、ご一緒するこだま森林組合の黒澤さん。実際のところどのような取り組みをされているのか知らなかった。この機会に、組合の取り組みの説明を受ける。県の木材利用推進室3名と埼玉の木を考える委員会のメンバー6名で朝10:30、組合事務所集合。
森林組合の県内の位置付けを説明する黒澤さん
平成13年10月に3組合の広域合併により設立。森林組合は山主の人たちが構成員で、現在の基本事業は素材生産で丸太を市場に流すことが主業務。その相手は、製材所が中心となる。原木市場を通すこともあるが、直接製材所へ送ることにより、経費の節減を図っている。
機械化で素材生産にかかるコスト削減がどこまで可能とできうるのか、山持ちに対して数字で説明が付けられるような仕組みをつくっていると感じた。相場に左右されずに素材価格を安定させる。日本の林業ではこれがもっとも難しいことだろう。
素材価格Aに対して、A/2を山主へ、A/2を生産コストとし、計画的に事業を維持できるのかが大変なところ。ただ、山主に対しては供給量の安定化と山主との調整が難しかったことが、ようやくA/2という数字を提示できることによって、双方に一つの基準ができたことが、計画的な伐採の目途が立てやすくなったという。しかし、素材単価Aについては、多産地、外材との競争原理で決めざるをえないため、厳しい状況であることに変わりはなく、課題をひとつずつクリアしながらこの地域の山のあり方を模索中といったところだろうか。白板に書かれていた伐採予定立ち木立米数から割り出す、投入できる伐採忍人工数の計算式は我々には説得力があった。
組合としては県内でも先進的な機械化で合理化された伐採を行っているという。コスト管理から割り出された伐採工程どおりに山での作業が進められのかがポイント。
山では、プロセッサーという玉切りの機械を見せていただく。あいにくの天気で、丸太を切ることはできなかったが、県で購入したものがレンタルされている。
山仕事の効率は作業道である林道づくりできまる。集材地点の確保、そこまでの林道整備。そのための機械化も計画的に行っているという。
※参考HP:
こだま森林組合の取り組み(pdf)
高性能林業機械(イワフジ工業株式会社のHP)
■協同組合彩の森ときがわ
平成18年2月1日に都幾川村は玉川村と合併してときがわ町になったばかりの町。
彩の森ときがわも、平成15年の秋に設立されたばかりの協同組合。製材、材木店、森林組合が構成員。素材生産から販売までを行っている人たちで構成されていることになる。
その事業は協同施設を有効に活用し、仲間が集まって協同することによって全体の事業水準を高めていこうということがねらいのようだ。
協同施設には、ストックヤードの敷地内に事務所、木造の倉庫、2機の減圧高温蒸気式乾燥装置(処理能力は8立方m、16立方m)。この乾燥装置が組合としては最大の売りの一つということだろう。我々としては、ほとんど活用されていないように見受けられるストックヤードに魅力を感じた。(たまたまこの日がそうだったのかもしれないが)
都幾川は山はつながっているので銘木産地としての西川材の影響もあり、手入れのされた丸太の供給が可能のようだ。置いてあった丸太からも手入れの良さは感じられた。もともと、都幾川は建具の産地ということもあり、建具材には、良質な木の品質が求められるということもあり、製品としての木という意識が高い地域でもあるのだろう。
伐り旬の伐採、葉枯らしは必ずしも特殊なことではなく、天然乾燥による構造材の供給への対応も行っている組合員も多いようだ。組合員個別には、今までもそういった対応を続けている。しかし、組合全体としてそれに対応するのかどうかは、もともとの組合設立の経緯からするとこれからのテーマになるのだろう。
個別の事業では、本格的な木の家づくりへの対応ができているので、それを組合としての切り口として提示できれば、特色ある木材供給基地として期待できるように感じられた。しかし、組織化することで、量への対応という課題も出てきてしまうだろう。また、それに伴うリスクを誰が負担するのかという、いつも起きる堂々巡りの議論に陥ってしまう危険性もある。適正な規模の見極めが課題か。
ちょうど磨き丸太をつくっていた
今回の視察では、素材あるいは製材の現在の供給ということが目的あった。山から木を伐り出だし、どのように流通にのせているのかなどを確認したが、伐られた後の山にどのような手当てをしているのかについては、基本的には山主の判断まかせということのようだ。
となると、伐採された素材から得られた収益によって、再造林できるのか、別の仕組みで行うのかなど課題もはっきりと見えてしまった。少なくとも現在の素材価格では山の再生産分のコストは仕分けして見込んではいないということだ。これは山の問題ではなく、都市の問題なんだろうと考えないといけないと思っているが、高く買ったら解決するんじゃないのと簡単に答えを出せることでもなさそうだ。・・・悩ましい!