河口湖ICから会場の日本建築専門学校までの途中にある早朝の牧場
木耐JC予選の3日間(9/23-25)は刺激的な時間を過せた。毎年参加のベテラン企業や大学、新たに参加の工務店、まったくの専門外の歯医者さんの再チャレンジなど、耐力壁一体一体に込めた気持ちが伝わってくるような壁が多かった。
年々技術的にレベルアップし、さまざまな工夫やアイデアも同じ土俵で数値比較されることで目指した答えが出たのかどうか。ベテランにとっては予定通りの力を発揮したものもある一方、想定外の部分で破壊した部分については次の課題探しが始まる。架構形態によるものなのか、材料選択によるものなのか、必要な部分への補強が足りなかったのかなどなど、壊れた壁を見ながらそのヒントを探っていく。同じ土俵で壁を考えているので、他の壁を見ることは、その違いやアイデアが自らのおきな参考になる。再チャレンジャーが多いのも勝ち負けによる悔しさもあるが、壁を進化させるヒントを必ずつかめることが、単純に面白いからなのかもしれない。
参加26体の耐力壁
専門外の歯科医である陸田式耐力壁は明らかに進化していた。両面合板張りは昨年と同様であったが、柱脚がラミンの15φ丸棒の込み栓から20φ程度の鉄パイプに変更。合板の留め付けも昨年は、下地をがっちり組んで、釘でがっちりと打ち付けた固い壁。今回は片面8本のビスでしか留めていない。昨年は固くしすぎたという感覚を持ったこと、足元が弱かったということによって、バランスさせた対応をしてきたことによって、昨年4.19KNが今回が9.35KNと2倍以上の最大耐力をマークした。今回は壁の部分では合板留め付けビスも飛び、合板も面外に大きく座屈した姿となったけれど、結果として粘る要素が加わった壁となっている。昨年、軸は合板の形そのままの長方形は変わらなかったものが、今回は菱形に変形しながら粘ったということ、この要素の違いが何であったのかを考えることが次の進化につながっていくことになるだろう。
昨年:柱脚が引き抜けた 今年:合板は面外に座屈したが粘った
専門とするものには技術的にはまだまだという評価になるのかもしれないが、直感した感覚で改良につながったことは、昨年の壁の壊れ方、他の壁の壊れ方を見て実感したことによるよい事例だと考える。見て、考えることがいかに大切なのかを改めて考えさせられた壁となった。告示のとおりに作られればもっと耐力は上がりますよと言うのは簡単だけれども、チャレンジャーではなくなってしまう。
初参加のmt.fujiは2段でダブルの筋交いをがっちりと組んだ強そうな壁。残念ながら昨年の陸田式と同様な結果となった。最大耐力は5.79KN。製作者は相当にショックだった様子でことばも掛けにくかったが、次回に再チャレンジしてもらいたい。改良の方法はたの壁にいろいろなヒントがあるように思われるし、改良すれば耐力は相当な壁なることはまちがいない。
ベテラン勢はさまざまな工夫を凝らし、実際の現場でも応用可能な耐力壁の提案があり、技術というものはさまざまな視点を持って進化するものだと実感した。
大会は、日本建築専門学校の学園祭のイベントとしても行われている。今回はシンポジュウムが「木造建築の伝え方」をテーマに開かれ、稲山氏、渡辺氏とともにパネラーとして参加。こういった形で学生諸君と時間を共有できたことはたいへんよかった。
「伝え方」といってもなかなか難しいテーマだけれど、ジャパンカップや大平建築塾はそんな場のひとつと考える。真剣に取り組み、楽しみながら続けていけることは、なによりの証であるだろう。
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