
卯建で有名ということは聞き知っていたけれど、実際に見てみないと始まらない。布引観音からは車で20分程度。たしかドイツの高級車が卯建のある町屋の前で止まっている写真が広告なっていたよう記憶があったが。
街並みは北国街道沿いに形成されている。水路で歩道と車道が右左に分離されているが車道は意外と交通量が多く、旧街道とはいえ生活道路となっていることがわかる。

昭和62年に重要伝統的建築物群保存地区に選定され街並みを今に残しているが、街並みで人を集められるということはやはりすごいこと。先人の築き上げた財産がその価値を今放っているといった感じ。卯建の連続する景観が見れるものと期待していたが、必ずしもそうでなかったのはちょっと見当はずれ。それぞれの家の事情や個性があるわけだからむしろこのほうが自然なのかもしれないと納得。

本卯建と袖卯建の並んだ2軒の写真はよく目にしたもの。こういった街並みを見て思うことは、使っている素材は、木と漆喰あるいは土壁、それに瓦、建具に使う障子紙がそのほとんどで、一軒一軒の造り様はけっこう個性があって主張しているけれど、街並みとしてまとまりを持っている。少なくともそれぞれが違和感なくはめ込まれているという感じ。かたや、実務の状況では、もしかするとここに並べてもらうと多少なりとも合うような住宅では、都市では浮き上がってしまうという現実。外壁はやっぱりタイル調のサイディングでないと隣から浮いてしまう。でも、そういう○○調は使いたくないし、造り方の筋として素材を選んで使っていきたいのだけれど。現状ではかえって街並みから遊離していると言えなくもない状況はなんとも納得しきれない。この地でも海野宿を離れ国道18号線沿いに建つ住宅群は、○○調で覆われた街並み。埼玉となにも変わらない状況。無国籍住宅が建ち並んでいる。
かってに無国籍などといったが、大半の住宅が○○調に被われているとなると、外国からの旅行者にはこれが現代の和風住宅と見えるかもしれない。なにせ彼らの住む住宅(洋風住宅)にはたぶん○○調の外壁が張られることがあまりないだろうから、どう見ても○○調は日本のという意味では和風とならざるを得ないだろう。広告では高級洋風住宅となっていたとしても。だいぶ話がずれてしまったが、素材についてはちゃんと考えましょうということ。

街道に面して各町屋の格子が連続するが、これも少しずつ違っている。だいぶ格子の表面も風化していて時間を感じさせる。格子は昼間見てもよいが夜に室内の明かりが漏れる雰囲気も見てみたかった。残念ながら帰路に付く。
[2005.06.26]