タイトルの通り、木造の耐力壁による競技会で、今年ですでに7回目の開催。NPO木の建築フォラムの主催により行なわれるまでになった。
(今回、過去の競技の詳細はココ)
予選は毎回、富士山の裾野で大工棟梁を育成している富士宮の日本建築専門学校の施設を借り、積極的に参加する同校の学生たちの協力によって運営されている。

今年の出場は25体。これを24日〜26日の3日間で予選を行なった。デザイン(独創性・文化性・意匠性)要素の審査員4名のひとりとして今回は参加した。
耐力壁といえば、柱と梁の間に、いわゆる筋交い(すじかい)をX形あるいは/形にいれて構造要素としているものが一般的だ。しかし、その目的は柱と梁に四角に囲まれた矩形を歪みにくくすることで、その方法は限定されたものだけではない。ましてや見せられる耐力壁にするため、金物だけに頼らない方法など答えはいくらでも考えられるはず。問題は、どの程度の性能(耐震性、耐風性、材料コスト、施工性、環境負荷など)を持っているのかだ。これは机上のアイデアだけではわからない。作って壊してみるのが手っ取り早く、確実であり、目の前で起きた現象の観察がなにより次なる発展につながっていく。主催者、参加者のこんな思いが7回目まで続いている根底にあるのだろう。
提案された耐力壁を構成する要素には、製材、合板、麻縄、竹、普通ガラス、化粧ボード(ケイカル板)、ワイヤーロープ、鋼棒など実に多様。特にガラスと麻縄というユニークな提案は初めてではないか。
昨年からは、加力試験のデータを整理し、その壁の性能成績表として実際の建築に使うための予備資料ともなり、アイデアで終わらせることなく実用性の高い競技会となっている。
麻縄を使ったアイデアが2体も参加
参加者は実務者、研究者ばかりでなく、学生のチームも多く、なんと言っても今回の驚きは歯科医師というまったくの専門外の登場だった。
社命を帯びて気合充実の猛者、初参加の学生と棟梁と協働、予選突破を目指す常連、アイデアの実用性を試すグループなどなど、また、日建の学生の壁は毎年施工精度と性能が高まっているなど、それぞれにドラマがあっての参加のようで、今回は見ていただけだが心地よい体験となった。
競技は、その場で壁の組み立てを行い、予選(加力試験)後に解体、分別を行うというのが一連の流れ。組み立てと解体は、手馴れているかどうかが見ていてもよく分かり、時間を競っているため、激しい場面となることもしばしば。
参加した学生たちの組み立て
常連の解体は激しい
耐力壁の評価は、単純に強ければよいというものでないところがこの競技のおもしろいところ。予選1位、2位、3位は常連が独占。要項の読み込みの深さとそこから割り出され創出された強度や耐震性、コスト、施工性、デザイン面までバランスさせているところが実に見事。
強度では4tを超える力を発揮していた壁であっても環境負荷が高いことによって、総合点が抑えられ7位に甘んじざるを得ないといったこともおこり、なかなか奥の深い競技であることを実感した。
これから参加者は12月4日の決勝トーナメントに向けて、対戦相手をにらみながらの改良が加えられるだろう。師走の楽しみがひとつ増えた。
結果発表する実行委員長の稲山氏

(画面クリックで拡大)
1位 BOWS
2位 門外不出〜開かずの扉〜
3位 ハニカム君
4位 たまねぎ☆てつこ
5位 足縛
6位 二人三脚
7位 最強戦
8位 kabedas
※写真は実際を左右反転する等の修正しているものもある。
【木造耐力壁ジャパンカップの最新記事】


高温乾燥材については、さまざまな立場での意見があろうかと思います。要は、内部割れに問題があるのであって、乾燥の方式は手段にすぎないのですから。木の家に用いるための良質な木材(高級材という意味ではなく)というのはどういったものが望ましいのか。そういった材料をだれが供給できるのか。という部分の解決が課題であろうと思います。ジャパンカップの決勝トーナメントで見た壁は、内部割れをおこしていた材料を用いていたために、仕口部分で粘りがなく脆い破壊が生じてしまったということは残念ですが事実です。有名なところで生産している材でした。壁の製作を指導した棟梁も、実験前にそのことを指摘していて、そのとおりになってしまったのでした。
内部割れのない乾燥材を行っている工場などに関する情報などお知らせいただければ幸いです。