2010年01月23日

25年ぶりの法隆寺

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昨年の秋、25年ぶりに法隆寺を訪ねた。1984年の春に20日間程度の西日本ひとり旅したときに、ここもその目的の一つだった。ようやく「木造」に目覚めかけていたころのこと。

当時も勤め先で木造住宅の設計はしていたけれど、「木造」ということに対する自らの問題意識は希薄で、RC造でもS造でも木造でも構造として並列にしか考えていなかったように思える。
 2009_1018_0291ss.jpg そのころ、西岡常一棟梁の「斑鳩の匠三代」を読んで感ずるところがあり、ちょうど、薬師寺の中門工事をされていたころで、現場事務所にアポを取ってうかがった。4月16日(月)と記録している。何を話したのか全てを覚えていないが、棟梁が「木はちゃんと管理さえすれば、無限に使える材料」ということ、「今、使える木がなければ鉄骨で寺院を造ったってかまわん」ということを言われたことだけは鮮明に覚えている。

そのころは、木が無限に使える材料などという認識すら持っていなかったので、「え、そうなんですか?」ぐらい言ってしまったのではなかったか。木が山に生えていることはさすがに知っていたけれど、山の木がどのように目の前の建築になるのかまでの流れまでに思いをめぐらすことはほとんどなかった。新木場で米杉のバンドル買いをする貴重な経験はしてはいたけれど、内地材について、産地をどうこうするという意識もまったくなかった。そのころといえば国産材といっても比較的小径級材を使っては7×7(セブンバイセブン)工法などとやっていた時代だったように思うし、中丸太の並材利用ということなどがようやく問題として議論になってきたころではなかったかと思う。

住宅とは寿命のオーダーは違うが、鉄骨でもとあえて棟梁が言うのは、300年、500年それ以上の寺院を造るには、それに見合う木がなければ、建てる意味そのものがないのだ、ということだったのだろう。木が育ち使えるものが入手できるまで、とりあえず仮設でもしかたなく、それであるなら鉄骨でもということだ。100年の木には100年の命ということは、まさにこの本に書かれていることではあるけれど、実感として感じとれることはそのときの自分にはできなかった。立ち木の伐採もまだ見たことがなかったころのこと。
そのとき、ミーハーにも本にサインをお願いし、現場を辞して、法隆寺に向ったと記憶している。

法隆寺は中学校の修学旅行で来たことがあっただけで、そのときは修学旅行から11年後に訪れたことになる。南大門で切り取られてまっすぐな軸線の向こうに見える中門、その奥に金堂、五重塔の並ぶ姿が強く印象に残っている。今回訪ねた最大の理由もその「絵」をもう一度見てみたいという思いからだった。
日曜日ということもあって、人出は多かった。南大門をくぐる人も多く、人のいない絵を写真に収めたいという自分勝手な期待は脆くも崩れた。早朝で無いと無理。次回の楽しみということにしよう。

ここには、まだ3回しか訪ねてはいない。この場所の点は変わらず、自らの時間の点が0年、−25年、−36年と経過している。中学生のころには何を見ていたのかはよく分からない。修学旅行で法隆寺に感動して大工を志したという人の話も聞くが、そのときにはそういった感情はまったく芽生えることはなかった。 

25年前には日本の建築の大元みたいなものを見てみたいという想いがあっての旅でもあったが、建築史の教科書で習った程度の認識しかもっていなかった。現在でもそのあたりは変わらないが。ただ、その威容には圧倒され、工人たちの想いというものを多少は感じることは出来たように思われる。当時撮っている写真を見てみると今回見ている視点と異なっていることが分かる。まだデジカメではなかったころだから、シャッターを押したいと思った時の意識は今より密度が高かったかもしれない。

何がどう違っていたのかの説明は難しいが、そのころよりは多少なりとも木造についての経験が積み重なっている分、見る視点は増えたように思われる。

2009_1018_0668ss.jpg変わらない定点があることにより、相対的に他の点の変化が分かるけれど、今回は自らの変化した点を知る機会になったようだ。

法隆寺駅に向う途中、民家の土塀の向こうに柿が色づいていた。「柿食えば・・・」という句が、まさに思い浮かんだ。中学校の国語の教科書では習っていたと思う。残念ながら、鐘は鳴らずだった。

[2009.10.28]

写真を整理していたらやたらと鬼瓦の写真が多くでてきたのでちょっと遊んでみた。


posted by 太郎丸 at 18:24 | Comment(0) | MJK463ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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