2009年08月05日

大平宿で黒田人形浄瑠璃

通勤時にアスリートと走ったり、バッティングセンターで一流ピッチャーの球を打って「贅沢だ〜」というテレビのコーヒーCMがありますが、この夏はちょっと贅沢な体験ができました。

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恒例の大平建築塾(8/1〜3)に今年も参加しましたが、初日の夜会公演には地元飯田の黒田人形座の皆さんに人形浄瑠璃を上演いただきました。外題は「鎌倉三代記 三浦別の段」
  
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  北条時政(家康)の娘の時姫
上演する舞台は大平宿の民家でも一番しっかりとした紙屋の座敷、板の間が観覧席となりました。座敷の板戸をはずせば、3間半の切り取られた舞台が出来上がります。

太棹三味線に合わせた太夫の浄瑠璃の語りの意味は、所どころ分かるような気がする程度で、伝承文化への知識の無さを実感しました。
当時は、今で言えばカラオケのような娯楽であったようですが、とてもとても分かったなどといえるものではありません。
  
でも、あらすじを事前にいただき読んでいましたし、人形の動きとリズムから感じ取る程度でも十分に楽しめ、貴重な時間の体験となりました。囲炉裏の煙の臭い、煤で黒光りする床板や柱、小屋梁で閉じられた空間、座敷側の舞台に浮き上がる人形、その動きは日常の生活空間がまさにハレの舞台のしつらいへと変わり、装置として申し分のない空間となったものと思います。

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坂本城(大阪城)の城将
      三浦之助義村(木村重成)
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 義村の母
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  藤三郎(佐々木高綱の変装)
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  軍師 佐々木高綱(真田幸村)

飯田市は人形フェスタで全国でも有名な人形芝居の町です。大平建築塾とは毎年同一の日程と重なってしまっていたために、地元の人形芝居のグループとの交流という企画はなかなか実現しませんでした。しかし、今年は1週間ずれたこともあって、ようやく実現できました。驚いたことは、黒田人浄瑠璃は地域の活動として元禄年間から今日にまで代々受け継がれているということ。今流に言えば、公民館活動で地域の人々が楽しみながら受け継いできたということになるのでしょうか。こういったグループが市内に多数存在していて、市を挙げての一大イベントが人形フェスタということです。

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人がまちづくりの中心であることは基本ですが、それに歴史の厚みがあることはその地域には貴重な資産ということになります。歴史の厚みだけはどんなにがんばっても、一朝一夕で手に入れることはできないものですし、人から人にしか伝えられないものの厚みはとても貴重です。
江戸時代から受け継がれているものに手入れし、修理しながら使い続けている人形の白い顔は若干くすんでいますが、それこそが時間の深みというように感じられました。

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黒田人形浄瑠璃は独自の専用舞台を持っています。パンフレットには間口8間の2階建て出桁造りの舞台の写真があり、8間を1本の根曲がりの梁が両側の通し柱に差さるダイナミックな造り。下黒田諏訪神社に天保11年(1840年)に建て替えられた169年ものの貴重な舞台。これは見ずに帰れません。

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出桁のせり出しが効いていて、上の格子の規則正しさが下のプロセニアムの間口7間を支える根曲がり梁の自然の曲線をより強調しています。仕事がら木組みには興味ありますので、じっくりと見てみると8間の梁は左右の3尺の位置で管柱で支え、袖壁としているところがこの構造のミソです。両端の通し柱と管柱が対となっていること、8間梁とその上の出し梁を受ける継ぎ手のある桁材が梁として一体的に効くような構成になっていることとデザインとして木組みの仕組みが意識されていることなどが読み取れるように思います。構造の見応えありというところでした。
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  ※クリックで拡大します。
舞台の案内板にはこの8間梁を亀甲梁と読んでいて、てこの原理で大きな間口を確保している旨が記されています。この名はじめて聞きました。なぜ亀甲なのか。
亀の甲羅の湾曲した様からそう呼んでいるのか?確かに、梁は丸みはありますが、側面と上下は削っていますので、その断面形状が八角形に似た形状となり、そこから甲羅の模様をイメージしたのか?構造的な特徴を言うとするなら前者と思われます。
亀は縁起物ですから、人形浄瑠璃を奉納する場所としての梁の名称としてはふさわしいものであることに違いありません。
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管柱が支点になる天秤の効果を得て、大スパンを実現しているという

この舞台では春祭りに奉納上演が定期として行われるようです。紙屋で見せていただいたものもとても良かったのですが、この舞台での上演も見てみたいものです。

■黒田人形座 http://www.city.iida.lg.jp/iidasypher/puppet/kuroda/
■人形劇のまち飯田 http://www.city.iida.lg.jp/iidasypher/puppet/
posted by 太郎丸 at 19:24 | Comment(0) | 大平建築塾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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