2009年06月29日

伝統的木造軸組構法住宅の耐震性能検証実験の報告

 平成21年6月23日(財)日本住宅・木材技術センターのホームページに「伝統的木造軸組構法住宅の耐震性能検証実験の報告」と題して、3カ年計画の1年度目の報告記事があります。
このページからは報告書の全頁がダウンロードできます。

 残り2年間で伝統的木造軸組構法住宅の設計法を作り上げていくミッションです。地域や個人によっても多様な捉え方をされる伝統的構法を整理し、時間的にまとめ上げていくことは容易なことではありません。
 複数の委員会、TT(タスクチーム)には研究者とともに設計あるいは施工、林業に携わる実務者も含まれていますが、今までにあまりなかった委員構成で、画期的と言えるものでしょう。有効に機能することが望まれます。
  
 さまざまな、それぞれの立場からの議論が求められるものです。特に、実際に木という素材を直接扱い、その家に責任を持つ大工棟梁にとってはその考えるところを主張し、研究で抜け落ちていた部分、本当に必要な事柄を質す必要があります。法律を超えた部分でしっかりやっているところを今は見せ、知ってもらう時と思われます。
 
 情緒的な、あるいは観念的な主張にとどまることなく、実体験に基づく経験値を具体的に積み上げ提示していくことが、かみ合う議論が展開できる場をつくることになるはずです。数値データと経験値の間に合致点があるのか、食い違いがあるのかなど共通の土俵に乗れることになるでしょう。
 ものを造ることに関わっている人は大なり小なり自己主張が激しいもので、それだからもの造りができるということもあります。私も似たようなものです。(笑) 
ですから、「現場のこと、材料のことを何にも知らないで、何を言ってやがる」という主張だけでは何もはじまらないし、問題解決には至ることはありません。その知らないと思うことを具体的に互いにぶつけ合っていくことこそ大切だと考えます。自分のことばで。今はさまざまな立場の人が知恵を出し合い、協働することが必要でしょう。

 この秋(10月10日(土)で調整中)に開催予定の中間報告的なフォーラムも企画中と聞いています。いろいろな意見を公開の場で議論できることは望ましいことです。この事業は大いに注目されていると思います。日本の木造技術を法の仕組みの中にどのように位置づけるのかという大きなテーマです。簡単に答えが出せるものではありません。

 関連記事として以下があります。
 まだまだ、数値データ数としては不十分です。現場での自由に応用しながらの発想には数少ないバリエーションでは、まだまだ対応できるものではありません。しかし、今ここで積み上げていく地道な作業を行わなければいつまでたっても状況は変わりません。

 「伝統的木造軸組構法住宅の構造耐力要素データベースの公開について」

試験方法も実情に合わせて柔軟に発想することも求められるでしょう。ただ、建築はデータだけでできあがるものでもありません。実感として捉える感性が必要です。
どう壊れるか、どこが壊れるかなど直感的に分かると応用も利くだろうと思われます。

今年で最後になる木造耐力壁ジャパンカップは実感としてそのようなトレーニングのできる競技会です。来年からは接合部の競技に変わりますが、これも面白いものになりそうです。
  追記:木造耐力壁ジャパンカップの競技の運営には多くの人の協力が必要です。その多くの部分を日本建築専門学校の学生が担っていてくれました。残念なことに学生数も少なくなっていくこともあって、競技の運営にも影響が出てきたため、耐力壁という大きな試験体ではなく、接合部の小試験体での競技会に変えていったらどうかという検討がされていました。
この年の競技会の参加者からは、耐力壁の競技会の継続を望む声があがり、参加者も運営協力することで次年度以降も引き続き木造耐力壁による競技会が行われることになりました。
ただ、接合部も重要な要素でありますので、木造接合部ジャパンカップもあってよい競技会となるでしょう。
   
posted by 太郎丸 at 17:00 | Comment(0) | 伝統構法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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