2009年03月27日

戦後の町を復活させたジョンソンタウン

2008_0419_040s.jpgちょっとトレンドなドラマや雑誌のグラビアの撮影などに使われているらしい。この辺では通称ハウスと呼ばれる、入間市東町にある戦後米軍の将校たちが基地の外で生活をしていたコロニアルスタイルの住宅群がです。
今ではミサイル防衛の迎撃用パトリオットミサイルが配備されている入間基地は、敗戦直後には進駐軍に接収され、若くして戦死したB29の優秀なパイロットの名にちなんでジョンソン基地と命名されていました。昭和53年には全面返還されましたが、この名はいまでもこの地域ではところどころで見かけることができます。
2009_0321_0028s.jpg
  
2008_0419_039s.jpg

2008_0419_044s.jpg

この数年、不動産業者が力を入れてエリアごとリニューアルや新築で町づくりをしています。戦後のバタ臭さがノスタルジーを呼び起こし、なかなかのよい雰囲気を作り出していすでしょう。基本的にはもともとの築50年ほどの米軍ハウスの平屋建てを中心として、今の目ではけして使っている材料などは上等というものではないけれど、オープンな外構で、外部空間の広がり感も十分にある低密度の町をつくりだしています。周辺に建つ最近の分譲住宅より雰囲気を持った町並みができあがっていて、十分に質の高さがあると言っていいでしょう。その分、家賃もこの当たりの相場からすると相当に高額に設定されているようですが、それでも、ほぼ埋まっているとうことはその価値が評価されているということです。不動産業者側からすれば、この地域の必然的な歴史的背景と特徴ある住宅群を活かし、時間を経たことによって得られる空間に付加価値を付けるという狙い通りであったでしょう。

2009_0321_0031-02s.jpg

戦後の様子は知る由もありませんが、たぶん、そのころを知る人たちにはかつての時代を思い起こさせるものが十分あるでしょう。敗戦後の苦しい社会情勢のなかで、華やかな異国人たちの生活は、アメリカのテレビドラマを真近で垣間見ることのできるものではなかったかと思います。感情的にはけして、それを良しとした記憶ではなかったとも思われますが、記憶が風化していく中で、町の姿が再び形は多少変わりながらもよみがえっている姿にはこの地域の記憶を呼び起こす、あるいは掘り起こすきっかけともなっているようです。

2008_0419_009s.jpg

同じ町内ということもあって、富士見公園からの帰り道などで、改修の現場をたまたま、見る機会がありました。使われていた当時の材料は、現代と比べると資材のない時代であったことを十分に理解できるほど華奢なものでした。進駐軍にとっては、長期に耐えるような要求はもともとなかったということもあったでしょう。丸味つきの3寸角ほどの柱で簡便なトラスを支え、室内空間をつくるというものでした。

 2008_0419_038s.jpg 2008_0419_006s.jpg
外壁は南京下見板張りにペンキとお決まりの作り方。室内がかつてどのようであったのかはわかりませんが、板張りにペンキ塗りであったでしょうか。それとも木摺に漆喰塗りなどということもあったかもしれません。
トイレが一緒の浴室にはタイルが張られ、水洗便器がありました。建設当初のものであろうと推察されますが、後の改修によるものかもしれません。
 2008_0419_020s.jpg

この町も数年前までは傷みが進み、さまざまに増築されたりしていて、あまり雰囲気が良いとはいえませんでした。築後50年以上も建っていれば、当初の目的からしても建物の寿命としては十二分と考えても良いかもしれません。統計上は築30年とする日本ではむしろ表彰ものと言えます。

2008_0315_035s.jpg

リユースといっても骨組みの状態になるまで、内外の仕上げは剥がし、筋違いや構造パネルで構造補強しています。まったくの新築のものもある(これは平成ハウスというらしい)。ただ、全体としての統一感をつくろうという意識があり、町としてのまとまりは十分です。
エリアの北側には大型マンションが建設されるほどのところで、この低密度で町を維持しようと発想したことはこの開発者の良識のなせるところなのかはわからないのですが、少なくとも参考にできる住環境の形を提案していて、評価できるものでしょう。

以前、「隣の家とは違うように見せることが分譲住宅を売る秘訣だ」などと聞いたことがありますが、「本当かい?」と聞き直したこと覚えています。売るとなるとそんなものなのだろうか。これは売る側の問題?それとも買う側の問題?なのでしょうか。確かに隣の家とは外壁は無理してでも変えるのが今の分譲住宅のセオリーとなっているようです。ですからせっかく群としてまとめて町並みを作れる事業をしながら、ショートケーキのショーウインドウのようなにぎやかさはあってもけして品のよいものとはならないのです。

ジョンソンタウンは賃貸ということもあり、提供するがわからば、戸別に仕上げを変えるなどの対応はしていないでしょう。外壁のペンキの色ぐらいかもしれません。基本形を決め、あまり変ねない仕様にした方が、コスト的なメリットも出るはずです。結果として統一感は得られる。ただ、ひとつ間違うとこの統一感は画一的なものになってしまうでしょう。この町の場合には、もともとあったものと新しく付加したもの、ゆったりとした街路の取り方などが適当にバランスしています。また、時間が育てたすでに大きくなった樹木が生えていたり、単純には画一的になりにくい要因があると考えてもよいのでしょう。飲食店や店舗なども入り込み、居住だけではない賑わいがあるのもその要因と思われます。店から漏れ聞こえる音楽はジャズという感じです。他にないオシャレな雰囲気は十分に持っているわけです。

2008_0315_028s.jpg戦後の町並みで、しかも建物そのものは、周辺の建物と比べてもけしてよいものを使っているわけではありません。正直なところ安普請といってもよいほどのものですが、町全体の空間の雰囲気は十分評価できます。平屋中心で屋根が低いこともあって、街路が明るいこともその良さのひとつかもしれません。塀で仕切られていない伸びやかさもまちがいなく大きな要素でしょう。

まだ、町としてはすべてが完成していないようですが、その変わりようはこれからも楽しめそうです。

【関連サイト】
  ■ジョンソン基地と昭和20年代の入間・狭山についての情報集
    http://homepage2.nifty.com/CCV/JOHNSONAB.htm
  ■Johnson High School
    http://www.johnsonjapan.org/
  ■JOHNSON AB AND FAMILY HOUSING AREA
    http://bobp31.homestead.com/JOHNSON_AB-FHA.html
  ■ジョンソンタウンの賃貸情報
    http://www.isonocorporation.com/
posted by 太郎丸 at 11:23 | Comment(0) | 町・地域のことなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。